こんにちは!HorseCampMongoliaで乗馬を教えているチカです。
ツアーで隊列を組んで草原を歩いているとき、「気がついたら前の馬のお尻にピタッとくっついていた!」「離れようとしてもどんどん近づいてしまう……」と焦ったことはありませんか?
これは、前回の「道草を食べる」と並んで初心者がもっとも起こしやすい行動の一つです。
しかし、前の馬に近づきすぎることは、乗馬ツアーの中で落馬や怪我につながるもっとも危険な原因でもあります。
今回は、車間距離ならぬ「馬間距離(ばかんきょうり)」の大切さと、安全な距離をキープする具体的なコツをご紹介します!
なぜ前の馬に近づきすぎてしまうのか?
初心者が前の馬にくっついてしまうのには、2つの理由があります。
- 馬の「群れで一緒にいたい」本能
モンゴルの馬は群れで生活しているため、前の馬に自然とついていこうとします。乗り手が合図を出さずに手綱を緩めっぱなしにしていると、馬自身の判断で前の馬のすぐ後ろまで歩み寄ってしまいます。
- 乗り手が前の馬のお尻ばかり見つめている
緊張すると、どうしても視線が下がり、目の前にある「前の馬の尻尾やお尻」ばかり凝視しがちです。目線が近い場所にあると、距離が縮まっていることに気づくのが遅れてしまいます。
近づきすぎると何が危ないの?

「仲良く並んで歩いているだけ」に見えても、馬にとっては非常に強いストレスになります。
- 後ろ足で強烈に蹴られる(キックの危険)
馬は真後ろが見えないため、後方から突然何かが近づくと「襲われる!」と本能的な恐怖を感じます。イライラした前の馬が、後ろ足で跳ね上げるように強烈な蹴りを繰り出すことがあり、後ろの馬や乗り手の脚に直撃すると大怪我につながります。
- 急ブレーキによる玉突き事故
前の馬が穴や障害物を避けて急停止したとき、距離が近すぎると止まりきれずに激突してしまいます。
安全な「馬間距離」の目安とキープするコツ

大自然の草原を安全に進むためには、常に適切なスペースを空けておく必要があります。
1. 目安は「馬1頭分〜2頭分(約2〜3メートル)」
前の馬のお尻と、自分の馬の鼻先との間に、「もう1頭、馬がすっぽり入れるくらいの隙間」を常に空けておくのが基本ルールです。
2. 近づいてきたら「手綱を手前へ引いて」スピードを落とす
前の馬との隙間が狭くなってきたと感じたら、完全にぶつかる前に手綱を胸のほうへゆっくり引きましょう。
- 「止まれ」の合図を少しだけ出してスピードを緩め、適切な距離まで離れたら、再び手綱を楽にして元の常歩(なみあし)のリズムに戻します。
3. 横に並びそうになったら進路を戻す
前の馬を追い越そうとして横に並びかける馬もいます。横並びになるとお互いに興奮してケンカを始める恐れがあるため、曲がりたい側の手綱を軽く開き、隊列の後ろへ進路を戻します。
4. 視線を「遠くの景色」に向ける
一番の予防策は、前の馬のお尻を見るのをやめることです。
インストラクターの背中や、遠くの丘、空を見つめて広い視野を持つと、自然と身体の緊張が解け、距離の変化にもすぐ気づけるようになります。
適切な距離を保つことが、馬への優しさ
「車間距離」と同じで、ゆとりを持った「馬間距離」を保つことは、自分の安全を守るだけでなく、前を歩く馬をリラックスさせてあげる大切なマナーです。
前の馬に気配りをしながら大草原を進むと、隊列全体が落ち着き、ツアーがとても快適になりますよ。ぜひ次の乗馬では、前の馬とのスペースを意識してみてくださいね!

