【モンゴル乗馬】「チュ!」だけじゃない?馬を動かす掛け声と合図の意味をチカが解説

こんにちは!HorseCampMongoliaで乗馬を教えているチカです。

当キャンプの基礎講習で「馬を進めるときは『チュ!』と声を出してくださいね」とお伝えすると、「えっ、声で馬が動くの?」と驚かれる方がたくさんいます。

日本の乗馬クラブでは脚(ふくらはぎ)で馬のお腹を圧迫して発進させることが多いですが、モンゴルの馬は「人間の声」をしっかり聞き分けて行動します。

今回は、基本の発進合図「チュ!」の正しい使い方から、遊牧民が馬や家畜を動かすときに使う独特な掛け声まで、知っていると乗馬が何倍も面白くなる「モンゴルの合図文化」をご紹介します!

1. 基本の発進合図「チュ!(Chu / Чү)」

まずは、初心者講習で皆さんに最初にお教えする「チュ!」です。

  • どんな合図?:日本語の「進め」「行け」にあたる、馬への発進のサインです。唇をすぼめて、舌を前歯の裏で弾くように短く「チュッ!」と鋭い音を出します。
  • 上手に出すコツ:ひそひそと気のない声で言うのではなく、前方にある目的地(目指す旗や丘など)を見つめながら、馬の耳に届くようハッキリと発音します
  • 注意点:手綱を強く引いたまま「チュ!」と言っても、ブレーキを踏みながらアクセルを踏んでいるのと同じで馬が混乱してしまいます。手綱を少し楽にしてから合図を出すのがポイントです。

2. スピードを上げるとき・長距離を走るときの「チュー!(Chuu / Чүү)」

「チュ!」を少し伸ばしたような「チョー!」または「チュー!」という掛け声もあります。

  • どんな場面で使う?:すでに歩いている馬に対して「もう少し速く歩いて」「走ろう!」と促すときや、広い草原でスピードに乗せたいときに使います。
  • 遊牧民の風景:遠くから馬の群れをまとめるときや、平原を駆け抜けるときに、草原のあちこちから「チョー!チョー!」という威勢のいい声が響き渡ります。

※初心者の講習や日帰りツアーでは安全を最優先するため、インストラクターの指示なしに勝手にスピードを上げる合図は出しませんのでご安心ください。

遊牧民ならではの呼び声!馬を呼び寄せる・なだめる「グリー、グリー(Gurii, gurii / Гурий, гурий)」

遊牧民が放牧中の馬を集めたり、搾乳(さくにゅう)の時間に馬を呼び寄せたりするとき、「グリー、グリー!」という力強い掛け声を聞くことがあります。

  • どんな意味?:馬を引き寄せたり、心を落ち着かせたり、注意をこちらに向けたりするための伝統的な呼び声です。
  • 音の響きと特徴:風の強い大草原でも遠くまで届くよう、お腹の底から響かせる低く太い声を張り出します。群れで暮らす母馬たちはこの声を聞くと、「あ、帰る時間だ。お搾乳の準備をしなきゃ」と理解し、仔馬たちが繋がれている「ゼル(繋ぎ場)」へと自然に足を進めます。

声だけじゃない!手綱と身体で伝える「止まる」「曲がる」

声で進める一方で、馬を安全にコントロールするためには手綱と姿勢の合図が欠かせません。

動作合図の方法ポイント
止まる(停止)手綱を手前へ引き、身体を少し後ろへ預ける綱引きのように足を踏ん張り、馬が完全に停止したら手綱を少し楽にする。
曲がる(旋回)行きたい方向へ視線を向け、曲がる側の手綱を軽く引く手元を見ず、行きたい方向にある目印(旗や木)をしっかり見つめる。

声で意思を伝え、身体で方向や停止を指示する。この2つが揃うことで、馬は「乗り手が何をしたいのか」を正確に理解してくれます。

合図が通じた瞬間の感動を、ぜひ草原で!

モンゴルの乗馬は、力づくで馬をねじ伏せるものではありません。

自分の声で「チュ!」と伝えた瞬間に、馬がスッと耳を後ろに向けて声を聞き、最初の一歩を踏み出してくれる。その小さなコミュニケーションが通じた瞬間は、誰もが笑顔になる最高の体験です。

ぜひ当キャンプで、生きた馬との「会話」を体験してみてくださいね!

目次