こんにちは!HorseCampMongoliaのチカです。私は今、首都ウランバートルにいます。
窓の外を見上げると、昨日まで秋の青空が広がっていた街に冷たい風が吹き込み、ついに初雪が舞い降りました!
街を取り囲むボグド・ハーン山などの山々の頂もうっすらと白く染まり、通りを行き交う人々も分厚いダウンコートや毛皮の帽子を身にまとって足早に歩いています。
日本の感覚だと「もう雪!?」と驚かれるかもしれませんが、モンゴルの秋は本当に一瞬です。初雪が降ると、街も草原も一気に空気が張り詰め、長くて厳しい「本格的な冬」を迎える合図となります。
ウランバートルで雪を見上げながら、真っ先に頭に浮かぶのは草原に残る馬たちのことです。
「こんなに早く雪が降って、外で放牧されている馬たちは凍えないの?」
「暖房のある厩舎(きゅうしゃ)もないのに、どうやって冬を越すの?」
お客様からよく心配の声をいただきますが、モンゴルの馬たちは大自然を生き抜く驚くべき知恵を身体いっぱいに備えています。
今回は、初雪を迎えたウランバートルの街の様子とともに、厳しい冬を乗り越える「馬たちのたくましい冬支度」をご紹介します!
1. 初雪とともに姿を変える!「モコモコ冬毛」の防寒システム

雪の気配を察知すると、馬たちの身体には目を見張るような変化が起こります。
夏の間はサラリと短かった毛のすき間から、驚くほど分厚く密度の高い「冬毛(ふゆげ)」がぐんぐんと伸びて身体全体を覆い尽くすのです。
春のように「毛がごっそり抜け落ちる」のではなく、秋から冬にかけては毛が急速に伸びて密集し、モコモコにボリュームアップしていきます。
- 天然の二重構造ダウンジャケット
冬毛は、外側の太く長い毛(上毛)が冷たい雪や風を弾き、根元にびっしり生える柔らかい産毛(下毛)が体温を魔法瓶のように閉じ込めます。手で触れると、分厚い羊毛絨毯のようにフカフカです。 - 背中に雪が積もっても溶けない!?
断熱性能があまりにも高いため、馬の体温が身体の外へ逃げません。そのため、雪が降る草原では「馬の背中の上に雪がどっさり積もったまま溶けない」という光景が日常茶飯事です。体温で雪が溶けて毛が濡れてしまうと凍傷の原因になるため、「雪を溶かさないこと」こそが極寒を生き抜く最高のバリアなのです。 - 息と背中から立ち上る「白い湯気」
氷点下の草原を馬が力強く駆け抜けると、モコモコの背中や鼻先からシュッと白い湯気が吹き出します。冬のモンゴルならではの、命の力強さを実感する美しい瞬間です。
2. 「食欲の秋」で蓄えた脂肪の鎧(よろい)と蹄の技

防寒着(冬毛)を整えるだけでなく、馬たちは体内のエネルギーチャージも抜かりなく進めてきました。
- 秋の枯れ草で「皮下脂肪の鎧」を完成させる初雪が降る直前までの秋の間、馬たちは栄養価が凝縮された草を夢中で食べ続けました。身体全体に分厚い脂肪を蓄えることで、外の冷気を遮断し、寒さを乗り切る燃料を身体の中に蓄えているのです。
- 雪の下の草を掘り出す「前足の蹄(ひづめ)」
草原一面が雪に覆われても、馬たちは人間の手助けを待つ必要がありません。硬く鋭い前足の蹄を使って、サッサッと器用に雪をかき分け、雪の下で天然のフリーズドライ状態になっている干し草を見つけ出して食べます。自力で食料を確保できる強い本能があるからこそ、何千年も草原で生き続けてこられたのです。
3. ウランバートルの街と、草原の遊牧民の冬支度

馬たちが自前の冬毛と脂肪で越冬態勢に入るのと同時に、私たち人間も大忙しで冬を迎える準備を整えています。
- ウランバートルの街の冬支度
街中の車は一斉にスタッドレスタイヤやスパイクタイヤへ履き替え、アパートやビルの地域集中暖房が本格稼働して室内はポカポカになります。市場(ザハ)には毛皮のコートやフェルトブーツ、羊肉がずらりと並びます。 - 草原の遊牧民の冬支度
遊牧民たちは、冬の厳しい寒さから家畜と自分たちを守るため、山の麓や風の当たらない冬営地(ウブルジゥー)へゲルを移動させます。ゲルのフェルトを二重に重ね、裾をしっかり土で固めて寒風をシャットアウトします。

【Q&A】初雪と冬のモンゴルに関するよくある質問
Q. 初雪が降った後のツアーは、どんな服装が必要ですか?
A. ウランバートル周辺で雪が舞い始める時期は、日本の真冬(1月〜2月)と同等以上の防寒が必要です。風を通さない中綿ダウンジャケット、耳まで隠れるニット帽、ネックウォーマー、厚手の保温インナー(ヒートテックなど)をしっかり重ね着しましょう。
Q. 雪が積もっても馬に乗ることはできますか?
A. はい、季節に適した防寒装備を整えれば乗馬は可能です!白銀に染まった山々や静まり返った草原を進むトレイルは、夏とは全く異なる凛とした美しさがあります。モコモコの冬毛に包まれた馬の温もりを直に感じられるのも、この季節ならではの醍醐味です。
白銀の季節に向かう、たくましい命の営み
ウランバートルに初雪が降ると、季節が駆け足で冬へと進んでいくのを感じます。
これから訪れるマイナス数十度の厳しい極寒の世界。それでも、モコモコの冬毛をまとい、白い息を吐きながら悠然と大地に立つ馬たちの姿を見ていると、自然への畏敬の念と生命のたくましさに胸を打たれます。
季節の移り変わりとともに、ダイナミックに表情を変えるモンゴルの大自然。
冬毛に包まれた愛らしい馬たちの姿も、ぜひいつか間近で体感してみてくださいね!

