馬は「乗るもの」ではなく、いつもそばにいる存在でした

はじめまして。

HorseCampMongoliaでコーチをしている、ヤンジマです。

現在23歳。今はウランバートルで暮らしていますが、私は子どもの頃、ウランバートルから約450km離れたウブルハンガイ県で、遊牧民の家庭に育ちました。

私の故郷には山があり、木の多い場所もあります。

「モンゴル」というと、どこまでも続く平らな草原を想像する方が多いかもしれませんが、私が育った場所は少し違います。

子どもの頃、家族の一日は朝早くから始まりました。

家畜の乳を搾ったり、乳製品を作ったり、両親の仕事を手伝ったり。

今では妹たちが学校へ通うため、家族は冬には村へ移り、夏になると遊牧民として暮らしています。

私自身も今はウランバートルで仕事をしているので、あの頃とはずいぶん違う生活になりました。

家には20頭ほどの馬がいました

私の家でも馬を飼っていました。

だいたい20頭くらい。

その中には、人が乗る馬も10頭ほどいました。

ですから、子どもの頃の私にとって、馬がいることは特別なことではありませんでした。

いつもの生活の中に、普通に馬がいました。

初めて馬に乗ったのが何歳だったのか、実はあまり覚えていません。

父からきちんと教えてもらって乗ったのは、12歳くらいだったと思います。

最初は、それほど怖いとは思っていませんでした。

でも、乗っているうちに何度か馬から落ちました。

そうすると、やっぱり少し怖くなります。

遊牧民の子どもだからといって、最初から何でも上手にできるわけではありません。

今でも覚えている「ホンゴル」の馬

子どもの頃に乗っていた馬の中で、今でも特によく覚えている馬がいます。

少し黄色っぽい毛色の馬で、私は「ホンゴル」と呼んでいました。

とてもおとなしい馬……ではありませんでした。

走るのが好きで、急に走り出すこともありました。

私がまだ子どもだということも、きっと馬には分かっていたのだと思います。

走っている途中に急な動きをすると、私はバランスを崩して、そのまま落ちてしまいます。

何度も落とされました。

それでも、私はその馬が好きでした。

いとこたちと一緒に羊を見に行き、帰り道になると馬で競争することもありました。

その馬は速かったので、私はいつも先に帰ってきました。

今思えば、それも私の大切な子どもの頃の思い出です。

馬は「友達みたいな存在」

日本では、馬というと「乗馬」や「観光」を思い浮かべる人が多いと思います。

でも、私が子どもの頃、馬はもっと生活に近い存在でした。

毎日のように乗り、一緒に過ごします。

だから私にとっては、

馬は友達みたいな存在でした。

大学へ進学するためにウランバートルへ行くことになった頃、父があのホンゴルの馬を売りました。

そのときは本当に寂しくて、泣いたことを覚えています。

それくらい、私にとって馬は身近な存在だったのだと思います。

今度は私が「馬のことを教える側」に

大学を卒業したあと、私はモンゴルの高専で、日本人の先生の通訳として働きました。

日本人と一緒に働いて驚いたことの一つが、

「小さなことでも、もう一度確認する」

ということでした。

最初は「どうしてこんな細かいことまで確認するんだろう」と思いました。

でも一緒に仕事をするうちに、それがとても大切なことだと分かるようになりました。

そして今、私はHorseCampMongoliaで、日本や海外から来るお客様に馬との接し方や乗馬を伝える仕事を始めようとしています。

少し不思議な気持ちがあります。

私にとって、馬への乗り方や手綱の持ち方は、子どもの頃から自然にやってきたことです。

でも、これからは、

「どうやって乗りますか?」

「手綱はどう持ちますか?」

「馬が動いたとき、身体はどうしますか?」

ということを、一つずつ言葉にして説明しなければなりません。

正直に言うと、

「ちゃんと説明できるかな?」

と少し心配しています。

でも、だからこそ私自身も、もう一度馬のことを勉強しています。

またモンゴルへ帰ってきてほしい

HorseCampMongoliaでは、ただ馬に乗るだけではなく、遊牧民のゲルに泊まり、馬と過ごし、遊牧民の暮らしにも触れてもらいたいと思っています。

私が子どもの頃には当たり前だった生活を、外国から来た皆さんにも少し知ってもらえたら嬉しいです。

そして乗馬を終えたとき、

「もう一度やってみたい。」

「今度はもう少し自分で乗ってみたい。」

と思ってほしい。

そしていつか、

「またモンゴルへ行きたい。」

と思って戻ってきてくれたら、とても嬉しいです。

これからこの「草原だより」で、モンゴルの馬のこと、遊牧民の暮らし、そしてHorseCampMongoliaでの日々を少しずつ紹介していきます。

どうぞよろしくお願いします。

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